法律実務において、言葉の定義を取り違えることは致命的なミスに直結します。委任契約において、自らの事務や法律行為を「依頼する側」が委任者であり、その依頼を「引き受ける側」が受任者です。たとえば、弁護士に訴訟対応を頼む場合、依頼主であるあなたが委任者、代理人として動く弁護士が受任者となります。
ここで混同しやすいのが「代理人」という概念です。代理人は、委任者に代わって外部の第三者と意思表示を交わし、その法律効果を直接委任者に帰属させる権限を持つ人物を指します。日常の手続きでは受任者がそのまま代理人を兼任することが一般的ですが、法的には「委任」が内部的な契約関係を指すのに対し、「代理」は対外的な権限関係を指すという違いがあります。
受任者と代理人の境界が曖昧なまま白紙の書類を渡してしまうと、意図しない売買契約を結ばれるといった「権限外の行為(表見代理など)」を誘発しかねません。まずは「頼む本人=委任者」「依頼を受けて実行する相手=受任者(かつ対外的な代理人)」という構図を頭に叩き込んでおく必要があります。