薬物はどのようなルートで寮内に入り込み、蔓延したのか。関係者への調査報道や公判における証言によれば、始まりは暗号化されたSNSアプリや海外通信ソフトを介した個人購入だったという。手軽に入手できる環境が整い、特定の部員同士で共有されるうちに、罪悪感は次第に麻痺していった。
さらに深刻だったのは、部内での内部告発や異変の兆候が以前から存在していた点だ。保護者や外部からの情報提供がありながら、指導陣や大学当局がこれを軽視し、自浄作用を果たせなかった。先輩後輩という絶対的な上下関係が支配する運動部独特の閉鎖的空間が、薬物の汚染ルートを遮断するどころか、沈黙の了解を生み出す温床となっていた。