この表現が定着した背景には、日本で古くから使われてきた「歩合(ぶあい)」や「度量衡(尺貫法)」の単位体系があります。江戸時代の貨幣制度や金銀の品位(含有率)、商取引の計量において「割・分・厘・毛」の単位は極めて厳格に扱われていました。
当時の金貨などの精錬技術において、不純物を完全にゼロにして純度100%(十割)に達することは技術的に至難の業でした。そのため、限界まで純度を高めた極上品であっても「九分九厘」と表現された歴史があります。
「どんなに完璧を期しても、人智の及ばない微細な誤差(一厘=0.1%あるいは1%の不確定要素)が残り得る」というリアリズムが、この慣用句の由来に深く刻み込まれています。