豚肉の魅力を解き明かす第一歩は、主要な部位が持つ個性と数値的な特徴を把握することだ。味の深み、噛みごたえ、脂の融点は部位ごとに全く異なる。
きめ細やかな肉質と適度な脂肪が外縁を覆う「豚ロース」は、赤身の旨味と脂の甘味のバランスが抜群だ。100gあたりのエネルギーは約263kcal(脂身つき・生)。厚切りにしてポークソテーやとんかつにすれば、肉汁のジューシーさを余すところなく堪能できる。
濃厚なコクを求めるなら「豚バラ肉」の右に出るものはない。赤身と脂肪が交互に重なり合う三層肉で、カロリーは約386kcalと高めながら、加熱することで脂が溶け出し、煮込み料理やサムギョプサルで無類の柔らかさを発揮する。
対照的に、最も脂肪が少なくヘルシーなのが「豚ヒレ肉」だ。1頭の豚からわずかしか取れない最高級部位で、カロリーは約115kcalと鶏むね肉に匹敵する低さ。きめが非常に細かく極めて柔らかいため、加熱しすぎないカツレツやローストポークに最適である。
さらに見逃せないのが希少部位の存在だ。豚のネック(首まわり)に位置する「トントロ」は、マグロのトロのような見事なサシと独特のサクサクした歯ごたえが特徴。こめかみから頬にかけての「カシラ肉」は、強い弾力と濃厚な赤身の旨味を蓄えており、じっくり煮込むか串焼きにすることで真価を発揮する。