二人の出会いと結成理由は、挫折と偶然、そして京極の冷静な計算が重なり合って生まれたドラマでした。
大阪時代、それぞれ別のコンビ(京極は「エレガント」、なかむらは「ブラボー」など)で活動していた二人は、相次いで解散を経験します。当時からピン芸人としても活動していた京極は、自身の才能を最大限に生かせるパートナーを模索していました。そこで白羽の矢を立てたのが、1期先輩でありながらどこか頼りなく、しかし誰からも愛されていたなかむらでした。
当時のインタビューやトーク配信で明かされた証言によると、京極はなかむらの「舞台上で何をしても憎まれない圧倒的な人間力」に惚れ込み、自ら上京を持ちかけてコンビ結成を提案しました。先輩であるなかむらを後輩の京極がプロデュースするかのような関係性から、2019年4月に「9番街レトロ」が誕生したのです。
上京後、彼らの主戦場となったのが神保町よしもと漫才劇場でした。劇場のオープン初期から看板を背負い、令和ロマンやヨネダ2000、ナイチンゲールダンスらとしのぎを削りながら、劇場ランキングのトップへと駆け上がっていきました。神保町の熱気を象徴するリーダー格として劇場シーンを牽引し続けた経験が、彼らのタフな舞台度胸を育むことになりました。