「学園七不思議殺人事件」をミステリー史に残る傑作たらしめているのが、第1の殺人で使われた「開かずの生物室」における死体消失トリックです。
金田一一やミステリー研究会のメンバーは、夜の旧校舎の外から「開かずの生物室」の窓越しに、桜樹るい子の遺体と怪人の姿を目撃します。しかし、慌てて部屋に突入したときには、部屋は完全な密室となっており、遺体も怪人も跡形もなく消え去っていました。
この不可能犯罪のタネは、極めて緻密な光の錯視と反転構造にありました。
的場は、目撃者たちが見ていた部屋が「開かずの生物室」ではなく、廊下の突き当たりに設置した大型の鏡に反射した「隣の物理室」の光景であるよう誘導。あらかじめ物理室で殺害した桜樹の遺体を見せつけた直後、鏡の角度を変えることで、あたかもその場で死体が消滅したかのように錯覚させました。物理教師ならではの光学知識を悪用した、極めて合理的かつ盲点を突いたトリックでした。