渋谷駅前の代名詞でもあった「ハチ公前喫煙所」と「モヤイ像横喫煙所」の閉鎖は、多くの喫煙者に大きな衝撃を与えました。長年、駅利用者のオアシスとして機能していたこれらの屋外喫煙所が撤去された背景には、単なる老朽化にとどまらない複数の決定的な理由が存在します。
最大の要因は、100年に一度と言われる渋谷駅周辺の超大規模再開発プロジェクトに伴う動線整理です。広場を行き交う歩行者数が爆発的に増加する中、屋外開放型の喫煙所から漏れ出る副流煙に対する苦情が区役所や駅管理者に相次ぎました。密閉構造でない旧来のスペースでは、東京都の受動喫煙防止条例が求める基準をクリアすることが極めて困難になったのです。
さらに、観光客の急増によるキャパシティオーバーやポイ捨て問題が衛生環境の悪化を招き、渋谷区はオープンスペース型の公衆喫煙所を段階的に全廃する方針を固めました。モヤイ像周辺の整備と歩行空間拡張の工事が本格化したことで、駅前広場から煙の出るスペースは完全に姿を消すこととなりました。