「進撃のトーマス」が放った狂気は、動画の鑑賞体験にとどまらず、プレイヤー自身がインタラクティブに体験するゲーム空間へと飛び火しました。その中核を担ったのが、PCゲームにおける進撃のトーマス MODの開発者コミュニティです。
名作RPG『The Elder Scrolls V: Skyrim』において、空を飛ぶ恐威のドラゴンが突如としてあの無機質な人面機関車に差し替えられ、天から甲高い汽笛とともに炎を吐き出す改造データは世界中で大反響を呼びました。さらに『Fallout』『バイオハザード RE:2』『ELDEN RING』に至るまで、プレイヤーを圧倒するボスキャラクターや強敵がトーマスへと姿を変える「トーマスMOD文化」は、ゲームシーンのお約束として定着したのです。
この文脈はついに2020年代、インディーゲームの現場で完全なオリジナルホラーへと昇華されます。蜘蛛のような無数の足を生やし、島民を食い殺す人面機関車と対峙するサバイバルホラー『Choo-Choo Charles』(2022年発売)は、「進撃のトーマス」が育んだ「機関車×捕食生物」の悪夢を公式なエンターテインメントとして再定義した象徴的な事例と言えます。