1991年、日本のテレビ界に激震が走った。伝説のサスペンスドラマ『もう誰も愛さない』である。毎話怒涛の展開が繰り広げられる「ジェットコースタードラマ」の先駆けとして知られる作品だ。
田中美奈子が演じた役柄は、欲望と愛憎が渦巻く複雑な人間模様の中心にいた。前週の伏線を容赦なく裏切るスピード感溢れる脚本の中で、彼女の研ぎ澄まされた演技と凄みのある視線は、お茶の間を恐怖と興奮の渦に巻き込んだ。視聴率は右肩上がりに上昇し、彼女の演技力に対する評価は揺るぎないものとなった。芸能界における「トレンディ女優」から「実力派女優」への脱皮は、この作品によって完成したと言っても過言ではない。