グラスに注がれる液体のバリエーションも、かつてない豊かさを迎えている。極限まで米を磨き上げ、蔵人の技術の粋を集めた純米大吟醸酒は、今やエレガントな食中酒として世界中のフーディーを唸らせる完成度を誇る。華やかな香りとシルクのような舌触りは、日々の喧騒を忘れさせる特別なひとときを約束してくれる。
その一方で、既存の酒造りの枠組みを飛び越えるクラフトサケの台頭も見逃せない。ホップや果汁、ボタニカルを副原料に加え、自由な発想で醸される新ジャンルは、従来の日本酒ファンのみならずワインやクラフトビール愛好層をも巻き込んでいる。クラシックな至高の伝統と、型破りなアヴァンギャルド。その両極が同じカウンターで楽しめる贅沢こそ、いま私たちが享受すべき酒カルチャーの現在地だ。