厚生労働省の労働災害統計によると、建設業における土砂崩壊・倒壊災害は死亡事故に直結する危険性が極めて高い類型です。一見強固に見える地山であっても、掘削によって側圧(土圧の拘束)が失われた瞬間、自重を支えきれずに崩落する危険性を常に孕んでいます。
このため、建設業安全衛生規則(安衛則)では地山掘削に関する安全対策が極めて細かく義務付けられています。特に、掘削面の高さが2メートル以上となる地山の掘削作業では、国家資格を有する「地山の掘削作業主任者」の選任が法的に必須となります。作業主任者は現場に常駐し、作業方法の決定、器具の点検、安全帯の使用状況監視、そして何より「地山のクラックや湧水の有無」を直接巡視・確認しなければなりません。
現場取材や施工管理者の証言では、「前日の降雨後に作業を再開した直後、地山の上部にわずか数ミリの亀裂が入っていた」「掘削機の振動が引き金となり、目に見えない不連続面から数トンの土塊が一気に滑り落ちた」といった生々しいヒヤリハットが報告されています。安衛則第355条から第367条に規定される「地山の種類に応じた安全な掘削勾配(岩盤や砂質土、粘性土ごとの基準勾配)」の遵守と、土留め支保工の先行設置が生命を守る絶対条件です。