アトランタ五輪後の1998年、有森裕子はアメリカ人男性のガブリエル・ウィルソン氏との結婚を発表しました。コロラド州ボルダーを拠点に練習を行っていた時期に出会った二人でしたが、直後の記者会見で夫が自身の過去やアイデンティティ(同性愛指向を含むカミングアウト)を公表したことで、日米のマスコミはセンセーショナルに報じました。
ワイドショーや週刊誌による過熱取材が続くなかでも、有森裕子は逃げることなく毅然とした姿勢を貫きました。しかし、国境を越えた価値観の相違や生活拠点のすれ違い、経済的・精神的な自立を巡る摩擦が重なり、2011年夏に正式な離婚が成立しています。
関係者の証言や当時のインタビューによると、離婚は憎しみによる決裂ではなく、互いの人生を尊重し合った上での発展的な解消でした。伝統的な「妻」「夫」というジェンダーロールに縛られることなく、一個人として誠実に生き抜こうとした彼女の選択は、現代の夫婦関係論の先駆けとも評されています。