サーロインやリブアイと同じ感覚でもも肉のステーキを焼くと、十中八九パサつきの原因になります。脂肪が少ない分、フライパンの熱が内部へダイレクトかつ急速に伝わるためです。牛もも肉ステーキの焼き方においては、「短時間勝負」と「余熱活用」が成否の分かれ目となります。
厚さ1.5〜2センチ程度のステーキ肉を焼く場合、塩を振るタイミングが決定的に重要です。焼く直前に塩を振ることで、浸透圧による肉汁の流出を最小限に食い止めます。厚手の鉄製フライパンまたはスキレットを強火で煙が出る直前まで加熱し、牛脂またはサラダ油を引いたら肉を投入。強火のまま片面を約1分焼き、こんがりとした焼き色がついたら裏返して弱火にし、さらに40〜50秒焼きます。
両面が焼けたらすぐにまな板へ移して包丁を入れてはいけません。焼きたての肉の内部では肉汁が沸騰して激しく動いているため、すぐに切ると旨味エキスが全てまな板へ流れ出してしまいます。焼き上がった肉はアルミホイルに乗せ、焼いた時間と同等(約2分間)休ませます。このレスト時間を設けることで、中央に集まっていた肉汁が全体へ均一に行き渡り、ナイフを入れた瞬間にしっとりとした赤身の旨味が溢れ出します。