『斉木楠雄のΨ難』のアフレコ現場は、声優業界でも「最も過酷な現場のひとつ」として語り継がれています。その最大の要因は、通常のコメディアニメを遥かに凌駕するセリフの密度とスピードにありました。
斉木楠雄は劇中で常に冷静沈着ですが、画面の奥では秒単位で怒涛のツッコミを展開しています。通常のアニメであれば1話(約20分)あたりの原稿用紙枚数が30枚〜40枚程度であるところ、本作ではその倍近い文字数が詰め込まれることも日常茶飯事でした。
主演の神谷浩史は、インタビューで「息を吸う隙間が物理的に存在しないため、いかにブレスノイズを入れずに限界まで喋り続けるかという勝負だった」と当時を振り返っています。リテイクなしの一発録りで完璧なスピードとイントネーションを叩き出す神谷の姿に、共演したキャスト陣からも感嘆の声が上がったといいます。