『美少女仮面ポワトリン』を語る上で、避けて通れない最大の関門が最終話(第51話)「大晦日の変身」です。ファンコミュニティの間で今なお「伝説にして最大のトラウマ、そして屈指の感動作」と語り継がれるこのエピソードには、東映特撮の枠組みを根底から揺るがす恐るべき仕掛けが施されていました。
主人公・村上ユウコは、ごく普通の女子高生でありながら、初詣の際に神様(斉木しげる)から無理やり「街の平和を守るスーパーヒロイン」に任命されます。その際に課された絶対の掟が、「もし誰かに正体を知られたら、カエルにされてしまう」という過酷な契約でした。ユウコは愛する家族や友人にも真実を明かせず、弟のタクトやその仲間たち「カジモト・タクト探偵団」の追跡をかわしながら、孤独な二重生活を強いられることになります。
そして迎えた大晦日の最終決戦。地球侵略を目論む悪の首領・ディアブルとの死闘において、ポワトリンは最大の窮地に立たされます。捕らわれた家族や仲間たちが処刑の危機に瀕した瞬間、ユウコが下した決断は、自らの破滅を受け入れることでした。「皆を助けるためなら、カエルになっても構わない」。ユウコは敵の前、そして愛する家族の面前で自ら白い仮面を外し、「私が、村上ユウコです!」と叫んで正体を明かしたのです。
直後、神様との掟通り、ユウコは煙とともに一匹のカエルへと姿を変えられてしまいます。悲嘆に暮れる家族と仲間たち。しかし、ここからが稀代の脚本家・浦沢義雄の独壇場でした。事態を収拾しようと現れた神様自身が、うっかり自分の失態を口走ってしまい、神罰によって神様までもがカエルに変貌。最終的にはディアブルの放った攻撃の余波と神様の超常現象が奇跡的に相殺し合い、ユウコも神様も元の姿に戻るという、まさにナンセンスと奇跡が紙一重で交差する大団円へと着地しました。家族揃っておせち料理を囲み、新しい年を迎えるラストシーンは、過酷な宿命からの解放と日常の尊さを鮮烈に焼き付けました。