「夜中に突然バタバタと猛ダッシュを始める」「トイレから出た瞬間に猛スピードで飛び出してくる」――この不思議な行動に頭を悩ませた経験はありませんか?飼い主から見れば突飛な奇行に思えますが、猫にとっては極めて合理的な本能の現れです。
深夜や早朝に部屋中を駆け回る現象は、専門的には真空行動(やり場のないエネルギーの発散)と呼ばれます。猫は夜行性と思われがちですが、実際には明け方と夕暮れ時に最も活発になる「薄明薄暮性」の動物です。現代の室内飼育では狩りをする必要がないため、有り余ったエネルギーが特定の時間帯に爆発し、猛ダッシュとなって表れます。
もう一つの代表例である排泄前後の猛ダッシュ、通称「トイレハイ」には、命を守るための切実な理由があります。排泄中は無防備になるため、野生時代は外敵に襲われる最も危険な瞬間でした。排泄物の臭いで自分の居場所を敵に知られるのを防ぐため、「用を足したら一刻も早くその場を離脱する」という強烈な生存本能が働いているのです。また、排便によって副交感神経から交感神経へと急激にスイッチが切り替わる生理現象も、興奮ダッシュの一因とされています。