自治体の行政DX推進に伴い、マイナンバーカードを利用した住民票のコンビニ交付は完全に定着しました。しかし、この利便性の向上の裏で、ディーラーや中古車販売店の現場では「マイナンバー記載トラブル」による納車停止事案が頻発しています。
都内の大手自動車ディーラーで登録実務を担当する主任スタッフは、現場の切迫した状況を次のように証言します。
「お客様が善意で『情報が全部入っていた方が確実だろう』と、マイナンバーが印字された住民票を窓口やコンビニで取得してお持ちになるケースが月に何件も発生しています。しかし、マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)第19条により、自動車登録などの法定外業務において特定個人情報を事業者が収集・保管することは固く禁じられています。どんなに納車を急いでいても、マイナンバーが記載された住民票を受け取ることはコンプライアンス上絶対に許されず、その場で返却して再取得をお願いせざるを得ません」
販売店スタッフが黒マジックでマイナンバー番号を塗りつぶしたり、修正テープで覆ったりして提出しようとする事例も一部で見られますが、運輸支局や軽自動車検査協会の審査窓口では「改ざん文書」とみなされ、受理を即座に拒絶されます。結果として「車購入 住民票 マイナンバー記載なし」の原則を守らなければ、書類の再取得によって納車が1週間から10日単位でずれ込むことになります。
さらに住民票の取得区分にも注意を払わなければなりません。「車購入 住民票 本人のみ 世帯全員」のどちらを選ぶべきかという点については、車の使用者・所有者となる「本人のみ(世帯一部)」の記載で法的に100%事足ります。同様に「車購入 住民票 本籍地 続柄」に関しても、自動車登録における現住所確認には本籍地や世帯内の続柄情報は一切不要です。過剰な個人情報を盛り込まず、最もシンプルな「本人のみ・省略あり」で発行することが、行政手続きにおける最も安全確実な防衛策となります。