本作のキャスティングは、後にも先にも類を見ないほど破格の顔ぶれで構成されています。
とりわけ大きな話題を呼んだのが、伝説的アイドルグループ「ピンク・レディー」解散直後だったMIE(未唯mie)の出演です。国民的アイドルとしての輝かしいキャリアから一転、水島の標的となる女性役としてヌードや凌辱シーンを含む過酷な役柄に体当たりで挑みました。当時の芸能界におけるタブーを打ち破る覚悟の演技は、彼女の表現者としての評価を決定づける契機となりました。
さらに特筆すべきは、内田裕也の幅広い人脈によって集結した、昭和サブカルチャーを代表する超大物たちのカメオ出演です。
- タモリ:無国籍なバーのマスター役として、独特のシュールな存在感を発揮。
- ビートたけし:主人公を追い詰める警察官役として、鋭い眼光を見せるワンシーンに出演。
- 沢田研二:通行人・客としてさりげなく画面を横切る贅沢な配置。
- 原田芳雄・安岡力也・殿山泰司:アングラ映画界を支えた名優たちが脇を固め、画面の密度を圧倒的に引き締める。
これらのキャスティングは単なる話題作りではなく、当時の東京のアンダーグラウンドな熱気と、混沌とした文化の交差点をそのままフィルムに焼き付けた証左といえます。