一方、寺島しのぶは常に予定調和を嫌う表現者だ。ベルリン国際映画祭での最優秀女優賞受賞をはじめ、国内外で高く評価される彼女の演技は、常に観客の予想を裏切り、感情を激しく揺さぶる。彼女にとって舞台は、自らの魂を削り出す神聖な戦場に他ならない。
若き才能である染五郎に対し、彼女が容赦のないアプローチを仕掛けることは想像に難くない。手加減なしのリアルな感情表現で、若きカリスマの仮面を剥ぎ取り、その奥にある本質を引き出そうとするだろう。二人の芝居は、美しいデュエットではなく、魂の殴り合いに近いものになるはずだ。