日本全国でアリーナの開業・建設計画が集中している背景には、エンターテインメント業界とプロスポーツ界における構造的な必然性があります。
第1の要因は、プロバスケットボール「B.LEAGUE」の最上位カテゴリー「B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」の開幕に伴うハードル設定です。リーグ参入条件として「入場可能数5,000人以上のアリーナ確保」「VIPラウンジやスイートルームの設置」「センターハングビジョンの常設」といった厳格な施設基準が課されたため、全国のクラブと自治体、民間デベロッパーが一斉に新設へ舵を切りました。
第2の要因は、音楽ライブ市場における「1万人規模」の深刻なハコ不足です。音楽配信サービスの普及によってCD売上依存からライブ体験(コト消費)へとビジネスモデルが移行した結果、ドームでは大きすぎて埋まらないが、数千人規模のホールでは需要を捌ききれないという「中〜大規模帯のミスマッチ」が慢性化していました。8,000人から15,000人程度を収容できる多目的アリーナは、演出の自由度とチケット売上のバランスが最も取れる理想的な規模として求められています。
第3に、PFI(民間資金等活用事業)やコンセッション方式の浸透が挙げられます。自治体が単独で巨額の税金を投じるのではなく、民間事業者が設計・建設・運営(BT+O方式など)を一括して担うことで、民間の商業ノウハウを投入した「年中無休で稼げるまちづくりの拠点」としての開発が可能になりました。
近年オープンした「Kアリーナ横浜(約20,000席・音楽特化型)」「LaLa arena TOKYO-BAY(千葉県船橋市・約11,000席)」「GLION ARENA KOBE(神戸市・約10,000席)」「IGアリーナ(愛知国際アリーナ・名古屋市・約17,000席)」などは、いずれもホテルや商業施設、飲食街を一体開発し、単なる試合会場にとどまらない都市型複合拠点を形成しています。