複雑に絡み合いながらも一本の線で繋がる人間関係こそ、本作の真骨頂と言える。安子を取り巻く岡山の和菓子屋「橘家」と、繊維会社を営む「雉真家」。段田安則演じる雉真千吉の厳格さと深い情、甲本雅裕が演じた橘金太の温かな眼差しが、若きヒロインたちの成長の土台を作った。
大阪編では、オダギリジョー演じる「大月錠一郎(ルイ)」の存在が強い異彩を放つ。トランペッターとしての挫折と再生、そして瑠璃との温かな家庭作りは、作品全体に流れるジャズの旋律と重なり合い、切なくも美しい余韻を残した。
京都編では、本郷奏多演じる若き大部屋俳優・五十嵐文四郎との切ない恋模様や、市川実日子演じる野田一子ら周囲の個性溢れる仲間たちが物語に豊かな彩りを加えた。語り手を務めた城田優の包容力あるナレーションも、3つの時代をひとつに縫い合わせる重要な役割を果たしていた。