鵜戸神宮を訪れる参拝者の多くが挑戦するのが、名物の「運玉(うんだま)投げ」です。本殿前の広場から荒波が打ち寄せる磯を見下ろすと、注連縄(しめなわ)が張られた亀の形をした霊石「亀石(桝形岩)」が横たわっています。この亀石の背中にある直径約60センチメートルの枡形の窪みへ運玉を投げ入れ、見事に入れば願いが叶うとされています。
亀石は、豊玉姫が海宮から乗って来られた霊亀が化石化したものと伝えられる神聖な岩です。かつては本物の硬貨が投げ込まれていましたが、昭和中期に自然保護と回収作業の安全性を考慮し、粘土を素焼きした現在の「運玉」が開発されました。
運玉投げには、古くから伝わる厳格な参拝作法が存在します。
- 初穂料と個数:1組5個入り(初穂料200円)を授与所で拝受します。
- 投擲の手順:男性は左手、女性は右手で投げることが絶対の掟です。利き手に関係なくこの作法を守ることが祈願の前提となります。
- 心構え:一つひとつの運玉に心の中で願いを込めながら、静かに投じます。
現場取材と力学的検証から導き出された、命中率を飛躍的に高める3つの実践ポイントは以下の通りです。
崖上から亀石までの距離は約12メートル、高低差は約5メートルあります。海からの強い向かい風や横風が発生しやすいため、直線的に投げ込むオーバースローは風に煽られて失速します。肩の力を抜き、下投げ(アンダーハンド)で山なりの放物線を描かせるフォームが最も安定します。
また、窪みの周囲の岩肌は硬いため、乾いた土製の運玉は強い勢いで当たると外側に跳ね返ってしまいます。狙うべきは窪みの手前エッジではなく、窪みの奥側の壁面に緩やかに当てるか、窪みの中心に直接落とし込む軌道です。5回のチャンスを無駄にせず、1投目で風向きと距離感を測り、2投目以降で微調整を行う冷静なアプローチが成功を引き寄せます。