渡良瀬遊水地は、治水施設であると同時に、本州以南では類を見ない広大な湿地生態系を有しています。その豊かな生物多様性が国際的に高く評価され、2012年7月に「ラムサール条約湿地」に正式登録されました。
登録の主な決め手となったのは、絶滅危惧種を含む約1,000種の植物、約270種の鳥類が生息する豊かな環境です。特に注目すべきは、国の特別天然記念物であるコウノトリの野生復帰・定着地となっている点です。遊水地内に設置された人工巣塔では毎年のようにヒナが誕生し、悠然と空を舞う姿を日常的に観察できます。
また、冬期にはチュウヒやハイイロチュウヒ、コミミズクといった猛禽類が越冬のために飛来し、日本屈指のバードウォッチングの聖地となります。
野鳥観察のおすすめスポットとしては、遊水地を一望できる「ウォッチングタワー(中央エントランス付近)」や、コウノトリの観察デッキが整備された「生井桜づつみ堤防」が挙げられます。早朝や夕暮れ時には、葦原の上を低空飛行する猛禽類や水辺で羽を休める水鳥たちのドラマチックな姿に出会えます。