三億円事件を象徴するあの有名な顔写真。白バイ隊員のヘルメットをかぶった青年のモンタージュ写真は、日本全国に配出され、誰もが知る昭和のアイコンとなった。しかし、このモンタージュ写真こそが最大の捜査障害だったと後に判明する。
実際には、死亡した少年Sの生前写真をベースに合成されたものであり、目撃証言から描き起こされた純粋な似顔絵ではなかったのだ。「似ている人物」を探すはずの捜査網が、実質的に少年Sの影を追い続ける罠へと変貌した。犯人の素顔を隠し、捜査の目を反らしてしまったモンタージュの存在は、警察行政における痛恨の失策として語り継がれている。