打ち込み音源が主流となった現在の音楽業界において、生演奏のダイナミズムを愚直なまでに守り続けているのが『うたコン』だ。指揮者がタクトを振り下ろした瞬間、総勢数十名のミュージシャンによる生音がホール全体を震わせる。テンポや強弱の揺らぎすら味方につける歌手たちの歌唱は、テレビ越しにも圧倒的な説得力を持って迫ってくる。
一方、カルチャー層から熱烈な支持を受ける『The Covers』では、J-POPの名曲がまったく新しい解釈で生まれ変わる。昭和歌謡から平成のヒットナンバーまで、現代の気鋭アーティストが自身のルーツを再構築する試みは、音楽史のアーカイヴとしても極めて高い価値を誇る。オリジナルへの敬意とアヴァンギャルドなアレンジが衝突する現場は、毎回スリリングな実験場だ。