ファンの間で「観るたびに目頭が熱くなる」と語り継がれるエピソードの代表格が、劇場版第9作『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』である。昭和のノスタルジーに囚われた大人たちを救い出すため、ぼろぼろになりながらタワーの階段を駆け上がるしんのすけの姿、そして父・ひろしが自身の半生を振り返る回想シーンは、アニメ史に燦然と輝く屈指の名場面として世界的に高く評価されている。
また、父親の尊厳と家族愛を問いかけた『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』も忘れがたい。自分が本物のひろしなのか、それとも記憶をコピーされたロボットに過ぎないのかという葛藤の果てに描かれる腕相撲のシーンは、劇場で多くの大人の涙をさらった。TVシリーズでも、ひまわりが誕生した日の特別エピソードや、愛犬シロとの絆を描いた短編など、ふとした瞬間に差し込まれる人間味あふれるドラマが視聴者の胸を強く打つ。