2003年と2011年に彼を襲った脳梗塞は、その後の歌手人生を大きく変えた。右半身の麻痺や言語障害という、シンガーにとって最も過酷な試練が突きつけられた。リハビリの現場では、1歩を踏み出すことすら困難な状態から、再びマイクを持つための壮絶な努力が重ねられた。
世間には「脳梗塞からの復帰」として報じられたが、彼が隠していたのは、日によって波がある激しい疲労感や、感覚麻痺による全身の違和感といった日常的な苦痛であった。リハビリをどれほど重ねても以前と同じように体が動かない歯痒さを抱えながらも、彼はカメラの前やステージ上では一切の泣き言を言わなかった。その気高さこそが、彼を真のヒーローたらしめていたのだ。