旨味の浸透を科学的見地から裏付ける知見もある。味の素株式会社の研究などでも知られるように、食材への味付けは細胞内外の浸透圧バランスによって進行する。水分で飽和状態にあるこんにゃくをそのまま煮汁に入れても、内部の水が邪魔をしてグルタミン酸やイノシン酸といった旨味成分は内部へ入っていけない。
熱湯で茹でる、あるいは塩・砂糖で脱水する行為は、内部の自由水を強制的に排出し、空いたスペースに出汁を呼び込むための呼び水となる。代表的な冬の味覚であるおでんや、根菜と煮含める煮物において、下処理を施したこんにゃくは出汁の旨味を芯まで抱き込み、噛んだ瞬間に芳醇な煮汁が溢れ出す極上の仕上がりを約束する。