玉ねぎの栄養に関しては、一般的な認知と科学的実態の間にいくつかの決定的なギャップが存在します。
第1の盲点は、「加熱すると血液サラサラ成分がゼロになる」という極端な誤解です。確かに揮発性の硫化アリルは熱によって一部分解されますが、加熱によって「トリスルフィド」や「セパエン」といった別の含硫化合物へ変化し、これらにもコレステロール低下作用や血栓予防作用が存在します。また、強力な抗酸化成分であるケルセチンは熱に対して非常に安定しているため、炒め物やスープにしてもほとんど壊れません。スープの汁ごと飲めば、溶け出した栄養素も無駄なく回収できます。
第2の盲点は、「ケルセチンは外皮に近いほど圧倒的に高濃度」という事実です。普段捨ててしまいがちな茶色い外皮直下の1〜2枚目の薄皮層には、中心部の数倍〜十数倍のケルセチンが含まれています。調理時には皮を厚く剥きすぎず、可能な限り外側の可食部を残すこと、あるいは乾燥させた外皮を煮出して「玉ねぎ皮茶」や出汁として活用することが効率的な摂取につながります。