四季折々の表情を見せる園内だが、春の訪れとともに迎える桜の季節は圧巻の一言に尽きる。ソメイヨシノやヤマザクラなど約330本の桜が天守を取り囲むように咲き誇り、夜間には幻想的なライトアップが実施される。漆黒の夜空に浮かび上がる白い花びらと、ライトで立体感を増した石垣のコントラストは息を呑む美しさだ。
多くの花見客で賑わうメインストリートを抜けたら、ぜひ北側に広がる日本庭園周辺の隠れた散策ルートへと足を伸ばしてほしい。木漏れ日が揺れる静かな小径にはせせらぎが響き、深山幽谷の趣が漂う。石橋を渡り、東屋から池越しに望む天守は、知る人ぞ知る極上の借景である。
さらに、かつての富士見櫓跡へと続く小高い丘は、喧騒を離れて深呼吸できる秘密の抜け道だ。歴史の余韻に浸りながら木立の間を縫うように歩く時間は、旅の満足度を一気に引き上げてくれる。