なぜ、これほどまでに絶大な価値を持つ楽曲カタログが突如として配信ラインナップから消去されたのか。レコード会社関係者や音楽著作権の専門家へ徹底取材を試みると、その根底には「原盤権の所有と運用の再編」が存在していることが明らかになる。
彼女の足跡を辿れば、90年代半ばの小室哲哉プロデュースによる爆発的ブームの時代から、セルフプロデュースへと舵を切り独自のスタイルを確立した成熟期に至るまで、時代ごとに様々なレーベルやプロデューサーが楽曲制作に関わってきた。作詞・作曲者の権利を管理するJASRACなどの著作権管理団体への登録とは別に、実際に音源を制作・録音した事業者が保有する「原盤権」のライセンス契約が更新期を迎えたことが、直接の要因と見られている。
引退後の権利運用において、過去の契約形態をそのまま延長するのではなく、重層化していた原盤権の所在を整理し、今後のカタログ価値を長期的に保護・最適化するための契約見直しが行われているというのが、業界内で最も有力な見立てだ。