宮中祭祀の舞台となるのは、皇居の深い緑に抱かれた「宮中三殿」である。天照大御神を祀る「賢所(かしこどころ)」、歴代天皇や皇族の霊を祀る「皇霊殿(こうれいでん)」、そして天神地祇を祀る「神殿(しんでん)」の三つが並び立つこの場所は、皇居内でも極めて特殊な空気が漂う領域だ。
神道・宗教学界の研究者たちも、宮中三殿の空間配置とそこで行われる祭祀の連続性に強い関心を寄せる。建築様式から調度品、配置される職員の動礼に至るまで、時代ごとの変遷を受け入れつつも根本の霊性を保ち続けている点において、世界的に見ても類例のない文化的・宗教的遺産と言える。