板チョコが小さくなったという議論の過程で、ネット上でまことしやかに囁かれる有名な都市伝説がある。「ロッテは板チョコの表面にある溝(スリット)を昔より深く・広くして、体積をごまかしているのではないか」という疑惑だ。
取材と工学的な分析から導き出される結論は、この「溝が深くなった」説は明確な誤解である。
板チョコに刻まれている溝は、単に割りやすくするためだけのものではない。チョコレート製造における極めて高度な「テンパリング(温度調整)」工程と密接に関わっている。製造時、型(モールド)に流し込まれたチョコレートを急速かつ均一に冷やし固める際、溝があることで表面積が増え、熱の伝導効率が飛躍的に向上する。もし溝がなければ中心部の冷却が遅れ、ファットブルーム(油脂分が白く浮き出る現象)が発生して口どけが著しく損なわれてしまう。
さらに、食品表示法および計量法に基づき、内容量は「50g」と厳密に重量管理されている。金型の微細な形状変更で重量をごまかす余地はなく、規格改定の際は全体の厚みや外枠のサイズそのものが変更されているのが技術的な真実だ。