工程計画を立てるうえで欠かせないのが、温度変化に応じた無収縮モルタルの硬化時間と養生期間の見極めです。本材は高機能混和剤が含まれているため、標準的な配合であれば外気温20℃環境下において練り混ぜ後約30〜45分程度が可使時間(作業可能な時間)となります。この時間を過ぎると急激に流動性が低下し始めるため、手戻りは許されません。
初期の凝結が始まってから脱型(型枠を外すこと)が可能になる初期硬化までは約24時間が必要とされます。無収縮モルタルの強度発現は非常に急峻であり、普通コンクリートが28日かけて到達する圧縮強度(約21〜24N/mm²)を、わずか材齢1〜3日でクリアする能力を持っています。
標準的な材齢ごとの強度推移(20℃標準養生時)は以下のカーブを描きます:
- 材齢1日:約25〜35 N/mm²(軽微な締め付けや型枠脱型が可能)
- 材齢3日:約40〜50 N/mm²(本設ボルトの仮締め、軽量荷重の載荷が可能)
- 材齢7日:約55〜65 N/mm²(本格的な機械据付・構造荷重の導入)
- 材齢28日:約65〜85 N/mm²以上(長期設計基準強度の完全達成)
注意を要するのは寒冷期の施工です。外気温が5℃を下回るとセメントの水和反応が極端に遅延し、所定の微膨張が得られないまま凍結する「初期凍害」の危険が高まります。冬期施工では採暖養生や練り混ぜ水への温水使用、あるいは早強タイプの指定を検討する必要があります。