眼窩底骨折の放置は危険?複視・眼球陥没の手術基準と全治期間の全貌

眼窩底骨折の放置は危険?複視・眼球陥没の手術基準と全治期間の全貌

眼窩底骨折の放置は危険?複視・眼球陥没の手術基準と全治期間の全貌に関する基本知識を初心者にも親しみやすくまとめました。今すぐチェックことができます。

受傷直後に最も警戒すべきなのは、「時間が経てば自然に治るだろう」という思い込みによる放置です。骨折した眼窩の底には、眼球を動かすための重要な筋肉(下直筋や下斜筋)や脂肪組織、神経が隣接しています。骨が抜けてできた亀裂にこれらの組織が落ち込み、挟み込まれて(嵌頓:かんとん)しまうと、物理的に眼球が動かなくなります。その結果生じるのが、上下左右を見た際に視野がズレて二重に見える眼窩底骨折の後遺症である複視です。

骨折部に筋肉が挟まった状態を長期間放置すると、血流障害によって筋肉そのものが線維化し、弾力性を失って固まってしまいます。一度線維化を起こした筋肉は、後から手術で挟まりを解除しても柔軟性が戻らず、生涯にわたって複視に悩まされる結果になりかねません。また、眼窩内の脂肪が副鼻腔(上顎洞)側へと脱落したまま固まると、眼球を後ろから支える容積が減少し、外見上明らかに目が奥へと落ち窪む眼球陥没(眼球陥凹)を招きます。左右の目の大きさが非対称になり、整容面で大きな精神的苦痛を抱えることになります。

手術を行うかどうかの医学的な判断基準は、主に以下の3点に集約されます。

第1に、正面視または日常視(見下ろす視線など)で明らかな眼球運動制限と複視が持続している場合。第2に、CT検査において広範囲の骨折が確認され、将来的な眼球陥没が2mm以上生じる可能性が高いと予測される場合。そして第3に、小児に見られる特殊な骨折形態(トラップドア型骨折)です。子どもの骨は柔らかくしなやかであるため、一度開いた骨の割れ目がバネのように跳ね返り、筋肉を瞬時に強く挟み込んでしまいます。この状態を放置すると数時間で筋肉が壊死に至る危険性があり、受傷後48時間以内の超緊急手術が必須条件とされます。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。