「2本で1000円というアナウンスを聞いて車を呼び止めたのに、気づけば財布の中の現金をすべて巻き上げられていた」――国民生活センターや全国の消費生活センターには、物干し竿の移動販売に関する相談が数十年にわたって途切れることなく寄せられています。報告されているトラブル事例を分析すると、極めて巧妙かつ組織化された「既成事実化の手口」が浮かび上がってきます。
典型的なトラブルの流れは次の通りです。
1. 呼び止めとすり替え:車を止めて「1000円の竿をください」と頼むと、販売員は「あれは昔の竹竿の値段。今あるのはサビない特殊ステンレスの高級品しかない」と前置きし、1本数千円から1万円以上の竿を提示する。
2. 確認前の無断切断加工:「ベランダのサイズに合わせて切ってあげる」と言い、購入者が正確な総額を把握・承諾していない段階で、勝手にノコギリやパイプカッターで竿を両端から切断する。
3. 既成事実による脅迫的請求:「あなたのサイズに切ってしまったから他所には売れない。1本4万円で2本で8万円、さらに加工賃と古竿の処分代で合計10万円だ」と突如として法外な金額を突きつける。
4. 密着威迫とATM誘導:断ろうとすると態度を一変させ、「切らせておいて買わないとは何事だ」「警察を呼ぶぞ」「家を知っているんだぞ」と大声で恫喝。現金が足りないとわかると、軽トラックに乗せて近隣のコンビニや銀行のATMまで連れて行き、現金を下ろさせる。
SNSやネット掲示板にも、現場の恐怖を物語る生々しい声が溢れています。
「留守番をしていた高齢の祖母が呼び止めてしまい、8万円請求された。男2人にベランダに居座られ、怖くて払ってしまった」(知恵袋・Xの投稿より要約)
こうした被害の多くは、平日の昼間に一人で在宅している高齢者や主婦層が集中的に標的となっています。