店頭で見かける円筒形の乾電池は、外見こそ規格化された同一サイズですが、缶の内部に封入されている材料と化学反応のプロセスは根本から異なります。一般社団法人電池工業会(BAJ)が公表している技術資料や各社製品のスペックシートを精査すると、その設計思想の違いが浮き彫りになります。
最大の違いは「電解液」と「電極材料の密度」です。マンガン乾電池は、正極に二酸化マンガン、負極に亜鉛、電解液には弱酸性の塩化亜鉛や塩化アンモニウム水溶液を使用しています。一方のアルカリ乾電池(正式名称:アルカリマンガン乾電池)は、電解液に導電性が極めて高い強アルカリ性の水酸化カリウム水溶液を採用し、負極の亜鉛を粉末状にして表面積を劇的に増やしています。この構造差が、取り出せる電流の大きさと持続力を決定づけています。
公称電圧はいずれも新品時で1.5Vと同じですが、電気を取り出したときの挙動は正反対です。アルカリ乾電池の容量と電圧は、大きな負荷がかかっても電圧が落ちにくく、マンガン乾電池の約2倍から5倍の電気容量を誇ります。しかし、マンガン電池にはアルカリにはない独自の強みがあります。それがマンガン乾電池の休み休み使う特徴である「自己回復力(電圧回復特性)」です。