そして現在、2026年の診療室の風景は、十数年前とは一変している。診察室のモニターに映し出されるのは、過去のレントゲン写真だけではない。患者の全ゲノム解析データ、日常の睡眠パターン、さらにはウェアラブル端末からリアルタイムで送られてくる血流データだ。
かつて重症化した患者が集まっていた専門病棟は、今や高度なデータ解析プラットフォームと化している。AIアルゴリズムは、微細な血液成分の変化から数年後に発症する可能性のある疾患を高精度で予測。症状が出る前に分子レベルでアプローチする「ウルトラ・アーリー介入」が現実のものとなった。医師の長年の勘と最新テクノロジーが融合したこの現場こそ、かつての拠点が目指した未来の姿だと言える。