中国語で豚を表す「猪」の簡体字表記は「猪」、台湾や香港で用いられる繁体字では「豬」と書きます。発音記号(ピンイン)は「zhū」であり、四声は高音を平らにキープする第一声です。
日本人学習者が最もつまずきやすいのが、「zh」のそり舌音(舌尖後音)です。日本語の「ジュ」のように唇を尖らせて濁音を発声すると、現地では「住(zhù)」や「主(zhǔ)」など別の単語として誤認されがちです。発音のコツは、舌先を上顎の硬い部分(歯茎のやや奥)に一度しっかり密着させ、息をせき止めてから、舌をわずかに離して「ツー」と「ヂュー」の中間のような破擦音を破裂させることです。音程は、救急車のサイレンの「ピーポー」の「ピー」のように、自分の声域の中で最も高いトーンをブレずにまっすぐ伸ばします。
ちなみに、中国語における豚の鳴き声のオノマトペも日本とは大きく異なります。日本語では「ブーブー」が定番ですが、中国語では「呼噜呼噜(hūlū hūlū)」や「哼哼(hēnghēng)」と表現されます。「呼噜呼噜」はブタがいびきをかいたり喉を鳴らしたりする重低音を模しており、「哼哼」は鼻を鳴らす音を表しています。現地の子供向けアニメや童話でも頻出する表現であり、耳を澄ますと文化的な聴覚の捉え方の違いが実感できます。