舞踏家としての厳格で前衛的な顔を持つ一方、数多くの出演ドラマで発揮されるコミカルでチャーミングな側面が、麿赤兒という表現者の間口を驚くほど広げています。その代表例が、フジテレビ系ドラマおよび映画化された『ルパンの娘』シリーズです。
主人公・三雲華(演:深田恭子)の祖父であり伝説のスリ師・三雲巌を演じた麿赤兒は、白髪をなびかせながらの軽妙なアクションや、孫を溺愛するコミカルな芝居で視聴者の心を鷲掴みにしました。SNS上では「おじいちゃんが可愛すぎる」「不気味なのに最高に愛おしい」と話題を呼び、前衛芸術に馴染みのない若い層にもファン層を急拡大させました。
NHK大河ドラマをはじめとする時代劇においても、権謀術数を巡らす僧侶や老獪な家臣など、画面に現れるだけで物語に不穏な緊張感をもたらすキーマンとして重用され続けています。肉体表現の極限を追求してきたからこそ、わずかな目線の動きや呼吸の間合いだけで観客の無意識に訴求できる技術が備わっているのです。