ふもとっぱらに訪れるキャンパーが最も警戒しなければならないのが、朝霧高原を吹き荒れる「富士山おろし」と呼ばれる局地風です。快晴で穏やかに見えても、富士山頂から吹き降ろす冷たい下降気流と谷から吹き上がる熱上昇気流がぶつかり合い、午後から夕方にかけて風速15m/s〜20m/sを超える暴風へと急変することが日常茶飯事です。
現地を観察すると、毎年多くのテントやタープが骨組みごとへし折られ、ペグが抜けて空を舞う光景が確認されています。この危険地帯でテントを死守するためには、道具選びの段階から厳格な基準が求められます。
一般的なファミリーテントに付属するアルミ製ピンペグやプラスチックペグは、ふもとっぱらの草原地盤には全く歯が立ちません。表層は柔らかな芝生ですが、地中15cm〜20cm付近には火山礫や石が多く混じっており、強風時にはテコの原理で簡単にすっぽ抜けてしまいます。推奨されるのは、最低でも28cm〜38cmの鍛造ペグ(または極太の炭素鋼ペグ)です。これを地面に対して45度の角度で深く打ち込み、風を受けるガイロープ(張り網)は2本のペグをクロスさせて固定する「ダブルペグ工法」を徹底することが推奨されます。
さらに、設営時は「富士山側から吹き下ろす風」に対してテントの最も断面積が小さい面(後方または流線型部分)を向けることが基本です。風が強まり始めたら無理にタープを張らず、潔く撤収する判断力こそが最大の防衛策となります。