「味を染み込ませたいから」と、加熱前の生肉をタレに30分以上漬け込んでいないでしょうか。実はこれこそが、お肉がパサつき固くなってしまう最大の落とし穴です。
タレに含まれる高濃度の塩分によって肉の細胞から水分が外へ浸透し、繊維がギュッと縮んでしまいます。プロの現場における生姜焼きの下味と漬け込み時間は、「焼く直前に絡める程度(1〜2分)」、あるいは「タレには漬け込まず、最後に回し入れて煮絡める」手法が王道です。
一方で、生姜焼きの肉を柔らかくする理由として見逃せないのが、生姜に含まれるタンパク質分解酵素「ジンジパイン」の働きです。ジンジパインはお肉の筋繊維を適度にほぐす効果を持っていますが、60℃前後の熱で失活し、塩分が強すぎると働きが鈍ります。お肉をあらかじめ柔らかく保ちたい場合は、タレ全量ではなく、「酒大さじ1と少量の生姜汁」のみを肉に揉み込んで5分ほど置き、表面に薄く小麦粉または片栗粉を叩いてから焼くのが、肉汁を閉じ込める決定打となります。