荒川区を選ぶ上で、決して目を背けてはならない客観的リスクが「地盤と水害」です。荒川区はその名の通り、荒川と隅田川という大河川に挟まれた沖積平野に位置し、区の大部分が海抜ゼロメートル地帯に該当します。
荒川区水害ハザードマップを確認すると、荒川流域で数日間にわたる想定最大規模の大雨(総雨量632mm等)が降った場合、区内の約9割以上が浸水想定区域(浸水深3m〜5m以上)に指定されています。万一堤防が決壊した場合、水が引くまでに1週間以上を要するシミュレーションも示されています。
また、古い下町特有の課題として「木造住宅密集地域(木密地域)」の存在があります。路地が狭く木造家屋が密集するエリアでは、震災時の火災延焼リスクが懸念されており、東京都の地域危険度測定調査でも一部の町丁が比較的高い危険度ランクに位置付けられています。
ただし、区側も手をこまねいているわけではありません。現在、以下のような大規模な減災対策が進行しています。
- 不燃化特区事業の推進:老朽木造住宅の解体費助成や、耐火建築物への建て替え支援による延焼遮断帯の形成。
- 広域避難計画と防災アプリ:浸水リスクに備え、台東区や文京区の高台への広域避難体制を協定化。スマホでリアルタイム避難情報を配信。
- 高台まちづくりとスーパー堤防:南千住汐入地区のように、堤防と一体化した盛土による高台開発が進み、安全性の高い拠点が整備。
物件選びにおいては、「ハザードマップ上で浸水深が浅い台地側(日暮里駅西側の高台エリア等)を選ぶ」、あるいは低地部であれば「マンションの3階以上を選ぶ」「電気設備が2階以上に配置されている新築物件を選ぶ」といった自衛策が極めて重要になります。