全国のグルメファンの間でしばしば議論を呼ぶのが、「福井市内にある総本店」と「敦賀ヨーロッパ軒」の相違点です。同一のチェーン店と誤解されがちですが、組織運営からメニュー構成に至るまで、両者は明確に異なる個性を放っています。
歴史を遡ると、ヨーロッパ軒の創業者である高木一夫氏が東京・早稲田で日本人向けに考案したソースカツ丼を福井に持ち帰り、大正時代に総本店を開業しました。その後、1939年(昭和14年)に暖簾分けとして敦賀の地で創業したのが敦賀ヨーロッパ軒の始まりです。現在は株式会社敦賀ヨーロッパ軒として完全に独立採算の別法人となっており、敦賀市内を中心に直営5店舗を展開しています。
味づくりの方向性においても、両者の間には興味深いグラデーションが存在します。福井総本店が伝統的な洋食屋の気品を残し、比較的さらりとした酸味際立つウスターソースと薄く叩き伸ばしたカツを特徴とするのに対し、敦賀ヨーロッパ軒は港町・敦賀の旺盛な胃袋を満たすべく、カツの厚みとジューシーさ、ソースの濃厚な甘みとコクを際立たせる方向へと進化を遂げました。