百田尚樹のベストセラー小説を実写化したドラマ版『永遠の0』において、上田竜也に託されたのは、主人公・宮部久蔵(向井理)の教え子であり、やがて特攻への出撃を命じられる若きゼロ戦搭乗員、小山実(こやま みのる)という極めて重い役柄でした。
小山実は、戦時下の絶対的な狂気の中にありながら、どこにでもいる純粋な青年としての脆さを色濃く残したキャラクターです。宮部が説く「何としても生きて帰れ」という教えと、軍上層部から課される「死して国に報いよ」という絶対命題の狭間で、彼の精神は激しく引き裂かれていきます。
放送当時、視聴者の息を呑ませたのは、上田が表現した「死に直面した人間の真実の姿」でした。従来の戦争映画やドラマで描かれがちだった勇壮な英雄像ではなく、膝を震わせ、涙を流し、生の執着と死の恐怖に身悶えする小山実の姿は、観る者の胸に深く突き刺さりました。関係者への取材や当時のドキュメンタリー特番において、上田は「嘘の感情で演じたら、実際に戦った英霊の方々に顔向けができない」と語っており、その剥き出しの覚悟が小山実という人間に圧倒的なリアリティを吹き込んだのです。