伊澤彩織の名を一躍カルチャーシーンの中心へと押し上げたのが、阪元裕吾監督による脱力系殺し屋アクション映画『ベイビーわるきゅーれ』です。彼女が演じた深川まひろは、超一流の暗殺スキルを持ちながら対人関係や社会生活には極端に不器用な青年。このキャラクターが放つ独特の哀愁とオフビートなユーモアは、同世代の若者を中心に爆発的な共感を呼び起こしました。
そして本作を語る上で欠かせないのが、相棒・杉本ちさと役を務めた高石あかりとのケミストリーです。台本なのかアドリブなのか判別がつかないリアルな掛け合いは、2人の絶対的な信頼関係から生み出されたもの。現場のメイキング映像や舞台挨拶でも見られる互いを尊重し合う姿勢は、映画の枠を越えてひとつのシスターフッドの象徴として絶賛されました。
劇場版第1作の口コミヒットから始まり、第2作『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』、連続ドラマ版『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』、そして池松壮亮らを迎えた第3作『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』に至るまで、シリーズを追うごとにアクションの精度と人間ドラマの解像度は跳ね上がっていきました。伊澤が魅せる近接格闘術(CQC)や銃器の取り回しは、邦画のこれまでのアクション水準を完全に塗り替えたと評されています。