加工食品を巡る情報環境には、いまだに前世紀の知識や商業的なバイアスが入り乱れています。ネット上でまことしやかに拡散されている誤解を解くため、現場取材で判明した2つの大きな盲点を解説します。
盲点1:「無添加表示」なら絶対に安全・健康的という幻想
パッケージに大きく「保存料・着色料不使用」「無添加」と書かれた商品を見ると、無条件で健康に良いものと錯覚しがちです。しかし、消費者庁は2022年に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定し、消費者に誤認を与える不当な表示の取り締まりを強化しました。
例えば、「保存料無添加」と謳いながら、保存料の代わりに大量の「食塩」や「砂糖」、あるいは酸味料を加えて日持ちをさせているケースが散見されます。添加物を避けた結果として塩分過多や糖質過多を招いては本末転倒です。また、食品添加物リストから外れている酵母エキスやたん白加水分解物を代替として大量に投入し、「化学調味料無添加」と表記する手法も定着しています。「無添加」というフレーズそのものに思考停止で飛びつくのは極めて危険な態度です。
盲点2:原材料表示の「スラッシュ(/)」ルールを見落としている
加工食品の裏面ラベルを見る際、最も基本的かつ強力な武器となるのが「原材料表示の仕切り線」です。2020年に完全施行された食品表示法により、原材料表示欄において食品原料と添加物は明確に「/(スラッシュ)」や改行で区切ることが義務付けられています。
スラッシュの前に書かれているのは、重量順に並んだ「食品素材(米、豚肉、玉ねぎ、砂糖など)」であり、スラッシュの後に並んでいるものが「食品添加物(調味料、酸味料、増粘剤、酸化防止剤など)」です。スラッシュ以降の名称が極端に長く、聞き慣れないカタカナ用語がずらりと並んでいる製品は、NOVA分類における「超加工食品」である確率が跳ね上がります。余計な知識がなくても、「スラッシュの右側がどれだけ長いか」を一目確認するだけで、その食品の加工度合いは瞬時に判定できます。