カタカナ語として広く定着している「アイルビーバック」は、英語の「I'll be back」を音写したものです。文法構造を分解すると、第一人称の「I」、単純未来や意志未来を表す助動詞willの短縮形「'll」、動詞の原形「be」、そして副詞の「back(戻って)」で構成されています。I'll be back和訳としては「私は戻ってきます」「また来るよ」という、ごく日常的な再訪の宣言に過ぎません。
しかし、1984年公開のSFアクション映画『ターミネーター』において、このフレーズが世界中に衝撃を与えた理由は、そのアイルビーバック英語ニュアンスとシチュエーションの凄まじいギャップにあります。劇中、未来から送り込まれた冷徹な殺人アンドロイド「T-800(演:アーノルド・シュワルツェネッガー)」は、ターゲットであるサラ・コナーが保護されている警察署を訪れます。受付の警官に面会を拒絶されたT-800は、冷徹な無表情のまま受付を見回し、低く平坦な機械的トーンでこう言い残します。
「I'll be back.(また来る)」
この発言の直後、立ち去ったはずのT-800は大型の自動車ごと警察署のロビーに突入。頑丈な壁と受付カウンターを粉砕し、署内の警官たちを次々と圧倒していきました。つまり、映画における「I'll be back」は親愛を込めた再会の約束ではなく、「即座に力づくで戻ってきて、お前たち全員を皆殺しにする」という、身の毛もよだつ復讐と襲撃の殺害予告だったのです。日常会話で用いられる「I'll be right back(すぐ戻るね)」のような軽やかさとは真逆の、冷酷無比な破壊衝動が込められていた点こそが、映画の名セリフ真相として今なお語り継がれる最大の要因といえます。