時任三郎のキャリアを語る上で欠かせないのが、1999年に決断したニュージーランドへの家族移住です。当時40代前半、俳優としてまさに脂が乗り、ドラマや映画の主演オファーが絶えない最盛期に、仕事を約4年間大幅にセーブして海外へ渡る選択は、当時の芸能界では前代未聞の英断でした。
移住の根底にあったのは、「子どもの幼少期という二度と戻らない時間を、夫婦揃って全力で共有したい」という強い家族観でした。妻である元モデル・タレントの橋本千佐子氏と価値観を深くすり合わせ、大自然に囲まれた環境で子どもたちをのびのびと育て上げる道を選んだのです。この経験が、後の『Dr.コトー診療所』などで見せた圧倒的なリアリティを持つ父親像の土台となりました。
芸能界の慣習や出世競争よりも「生命としての家族の時間」を迷わず選んだ姿勢は、ワークライフバランスが叫ばれる現代社会において、先駆的なライフスタイルモデルとして再評価されています。