幼少期に本作を鑑賞した多くの観客の記憶に強く刻まれているのが、背筋を凍らせる一連のトラウマシーンです。FilmarksやX(旧Twitter)における評判と口コミを分析すると、「大人になって見返すとホラー映画並みに怖い」「クルエラの形相が夢に出てきた」といった声が数千件規模で散見されます。
恐怖の筆頭に挙げられるのが、クルエラが手下のジャスパーとホーレスに対して放つ恫喝の台詞です。警察の捜査網が狭まる中、子犬の毛皮剥ぎを躊躇する手下に対し、彼女は「毒殺でも溺死でも何でもいい、頭を叩き割って今夜中に始末しなさい!」と狂乱交じりに叫びます。ディズニーのアニメーションにおいて、動物への直接的な殺傷予告がここまで露骨に叫ばれる描写は極めて異例です暖炉の火に照らされた彼女の骨ばった顔貌面、血走った眼球孔の演出は、アニメーターのマーク・デイヴィスが人間の醜悪な我執を限界まで突き詰めた結果生み出されたものでした。
終盤のカーチェイスも語り草です。真紅のクラシックカーを操り、猛スピードでバンを追尾するクルエラの表情は完全に理性を失っており、スピンして車が大破した後のボロボロの毛皮と逆立った髪の毛は、まさに狂気そのものです。鑑賞者からは「子供の頃は純粋にハラハラしていたが、社会人になった今は密猟や悪質なブリーダーの犯罪性を重ね合わせてしまい、より生々しい恐怖を感じる」という意見が多く寄せられており、リアリズムに根ざしたサスペンス演出が今も色あせない評価を支えています。